1998年09月30日/Radix(九州大学全学共通広報)No.18より抜粋(原文ママ)

相撲愛好会の廃部危機

九州大学相撲愛好会主将  理学部4年  木村洋之

  皆さん初めまして。九州大学相撲愛好会主将の木村です。
九月になり残暑のきびしい今日この頃ですが、今回は
ある意味で九大一暑苦しいサークル、九大相撲愛好会
について紹介させていただきます。
  まず、会の概要を説明しましょう。現在創立4年目      ※5年目です
で部員数5名、団体戦のメンバー1セットがやっとそ
ろうくらいです。練習は水曜日から土曜日までの週4
回、18時から21時まで福岡武道館内の土俵でやってい
ます。練習内容は四股、鉄砲、腕立てふせ、ぶつかり
稽古、三番稽古といったところです。重要な大会は全
国国公立大学選手権、西日本学生相撲選手権、体重別
選手権、インカレの年4回です。
  さて、我々相撲愛好会は常に部員不足に悩まされて
います。なぜこんなに相撲というスポーツが人気がな
いのか、理由は色々あるでしょう。独特のスタイルと
か世界観であるとか。まぁ、そんなわけで我々は毎年
勧誘には苦労しているのです。
  実をいうと、今年は非常にきわどい年でした。去年
まで我々の会は4年生が4人、3年生が1人でしたが、    ※4年は5人です
今年は1人、つまり私ですが、になってしまったので
す。私が相撲愛好会に入って以来、誰も入部してこな
かったのです。一人では四股をふむことくらいしかで
きません。
  私は多少ヤケになって、もし今年も誰も入らなかっ
たら剣道でもしようかと思って、木刀を買い、毎日素
振りをしていました。私の素振りは普通の素振りとは
ちょっと違います。タイヤを固定し、それをひたすら
打ち続けるのです。八双に似た構えで、蜻蛉の構えと
言うのですが、右手を天に向かって真っ直ぐのばし、
左手を右肘に添えるという形です。この構えでタイヤ
を左右に打ち続けます。木刀を振るときには同時に腰
を膝がつくまで下ろします。この稽古は素振りとスク
ワットを同時にやっているようなもので、示現流の一
派で野太刀自顕流の続け打ちという練習法です。昔の
人はこの稽古を朝三千本、夜八千本やったと言われて
いますが、私は三千回ぐらいでクタクタになってしま
います。
  我々相撲愛好会の知名度はそう低くはないと思うの
ですが、にもかかわらず部員がいないのは我々の愛好
会に対するイメージが悪いからでしょうか。新入生の
前で黙って四股をふんだりしたのが悪かったのでしょ
う。マワシ姿の男が黙々と四股をふむのは我々にとっ
ては自然な姿でも、新入生にとっては不気味だったの
かもしれません。
  とにかく、示現流の一人稽古をしなければならない
ほど相撲愛好会は危機的状況でした。そんな時です。
NHKから九大相撲愛好会について取材させてほしい
という依頼があったのは。
  稽古風景を撮ってもらい、相撲の魅力は何かという
難しい質問にも答えました。そして、その結果をみて
驚きました。さすが天下のNHKです。編集されて、
これ以上ないくらいに、私がいい男に映っているでは
ないですか。みていて恥ずかしいほどでした。
  我々はNHKに後押しされる形で、一生懸命に勧誘
をしました。熱心な勧誘で3人が新たに入会し、九大
相撲愛好会は潰れずにすみました。そして現在では大
会で好成績を残すことを夢見て、新入部員とともに四
股をふんでいるのです。
  我々の話は電波にのって全国にも流れたそうです。